山陰本線デゴイチ物語

山陰本線デゴイチ物語7 長門二見~滝部

長門二見(ながとふたみ)

せっかく風光明媚な日本海側を走る山陰本線はこのあたりから東へ折れ曲がり山間部に入る。有名な角島、土井ヶ浜、油谷湾などの観光名所を離れるとは勿体ない、と今でも地図を見ると思う。さらには山間部に入るということは蒸気機関車の運転は難行苦行の区間である。下関―長門市間での難所は上り列車が長門二見―滝部間、下りは黄波戸峠と阿川―特牛―滝部間となろうか。そこで迫力あるデゴイチの活躍を撮るためにはこのあたりに行くしかないということ。毎回の撮影行では長門二見には必ず寄ったものだ。

74年6月、長門二見駅上に採石場が見える
74年10月朝の白煙

長門二見駅は崖の中にあり改札口を入ると階段を上る。当時はさらにその崖上が採石場であり積み出し用の引き込み線、積み込み用のホッパーの遺構があった。いつ行っても側線にトラかトキの貨物が2両、放置されていた。デゴイチの頃も駅には飲み物の販売機があったくらいだろう。当時の撮影名所だけにどこかもっと良い場所がないかと隣駅の滝部まで歩いたことがある。別の日にまた滝部から特牛(こっとい)駅まで歩いたこともある。しかし、そうそう新たな撮影ポイントは無いものだということを知った。

74年9月冷凍車が重い貨物、空転するデゴイチ
74年9月朝の上り客車、駅の発車シーン
2012年12月訪問、山間の小駅の風情
滝部方面側、正面の森からデゴイチを撮影した

滝部(たきべ)

滝部駅は山陰本線下関から北上して長門市までの中間点であろう。ここには給水施設があって貨物列車も停車していた。機関士、助士がゆったりと一服していたのを思い出す。この駅前、街中は比較的にぎやかであった。今、地図を見ても温泉や神社があって古くから栄えていた土地だとわかる。デゴイチの頃、私は観光している暇はなかった。駅の売店あたりで急いでパンや牛乳を買って昼食をとっていたと思う。とにかく列車に乗って次の撮影地へ急いだものだ。さあ、午後は黄波戸か小串あたりか、今でもワクワクする。

74年9月滝部駅発車、朝の客車列車と白煙 
74年11月滝部を出ると特牛までは上り勾配
2012年12月訪問、1980年に駅舎は改築。
特牛側に給水塔があったようだが見えず

未訪問駅

梶栗郷台地駅

綾羅木と安岡の間に2008年に出来た梶栗郷台地駅がある。新しいので知らない駅だが地名は梶栗(かじくり)である。近くに綾羅木郷遺跡があるので「郷台地(ごうだいち)」を付けたというが、かなり無理があるように思う。他に古代博物館もあるので行ってみたい場所ではある。

宇賀本郷駅

湯玉と長門二見の間にあるのが宇賀本郷(うかほんごう)駅。やはり地名は宇賀(うか)である。本郷地区と合わせたのだろう。これはよくある命名法だ。丘の上の田園の中にあるので国道からはどこに駅があるのかわからない。当然、デゴイチの走っていた頃も無人駅であったが周りは何もない、なんでこんな場所に突然ホームがあるのか、という珍駅である。駅がある、という由来はともかく、この風景で撮影しなかったのは残念に思う。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください